64 鬼の宿
節分は鬼の厄日です。その鬼を「厄神さま」として迎え、毎年宿をする家が奈良橋にあります。まわりでは、その家を鬼の宿といっています。
節分の日には近所の家でまだ豆まきが始まらない明るいうちに御飯を炊きます。昔は箱膳にきちんと膳立をしたのですが、今は小さい膳に御飯に箸を添えて神棚に供えます。大神宮様の脇を「厄神さま」の御座とみたててあります。別に御幣を飾ることはしていません。
「福はうち、鬼はそと」
まわりの家から豆まきの声が聞えてきます。この家ではもちろん豆はまきません。食べるだけです。
「へえざる」にさした目刺しを門口に飾ることもしません。
この行事は今も続いています。近くの新家でも同じように守っているということです。
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